消費者から貢献者へ

与えること

寄付をすること、消費者にならいことを「ダーナム」と言います。
私達は何を与えることが出来るでしょうか?
そして、それは何の為にするのでしょうか?

寄付について、
バガヴァッドギーターでは「与えられる必要がある」と考えられて、

17章20節 (バガヴァッドギーター)
見返りを期待せずに、適切な場所に、
適切な時に、

受け取り手として値する人への寄付が、
サットヴァに属する心のあり方での寄付です。

「必要な人に、ふさわしい物を、適切な場所と時間に行う」とあります。
何かを与えるという行為は、困っている人を助ける行為でもありますが、
自分の心を大きくすることの出来る、自己成長の機会なのです。
ということは「私があなたに○○してあげる」という姿勢ではなく、
「自己成長の機会を与えてもらっている」という姿勢で行うものなのです。
具体的には、お金を寄付するのであれば収入の2~10%と言われます。

時間を与えることも大きなダーナム

与えることの出来るものはお金だけではありません。
お金を与えることが出来ない場合には、時間を与えることが出来ます。
これはスワミジが良くお話されます。
実際、スワミジに相談にくる人は沢山います。
何人かのスワミジと一緒に生活した期間がありますが、
週に何度かは近所の人達が訪ねてきて相談をしています。
また、ロシアに行かれたことのあるスワミジが、
ロシアの南インドヨーガセンターには、
ヴェーダーンティック相談会という部門があって、
予約制でスワミジに相談に来るそうです。
相談をしに来るのですが、
スワミジは「実はほとんど聞いているだけ」とおっしゃっていました。

例えば、「息子がアルコール依存症で困っている」という相談に対して、
話を聞き、最後に「機会があれば息子を連れてきてください」と伝えたそうです。
すると、しばらくして息子さんが来たそうです。
そして息子さんの話を聞き、
最後に「ご家族の方が心配しているから、お酒はほどほどに」と伝えたそうです。
そしてしばらくすると、
お母さんが再び来て「息子の調子がとても良くなった」と報告してくれたそうです。

現代社会では、子供から大人まで毎日忙しいので、
ゆっくり話をする時間がない人が多いので、
「話を聞く」「静かな時間を共に過ごす」という行為はとても必要なのです。
精神分析医などに通う人の多くは、
話を聞いてもらいたいのです。
働いて、働いて、そのお金を精神分析医に話を聞いてもらう為に払うのは何とも切ないものです。
なので、もし金銭的に寄付する余裕が無ければ、
時間を与えることも大きなダーナムです。

それらが無理でも、労力や知識を与えることも出来ます。
出来る仕事を手伝うことも労力を与えていることですし、
知っている知識をシェアすることも与えていることです。

逆に見返りを求めるような寄付は、
寄付ではなく投資、もしくは単なる取引です。
また自分の地位や名声の為に行う寄付も好ましい姿勢ではありません。
それはヴェーダーンタで求められる自己成長や精神的成長ではなく、
物質的成長を強く求める行為です。

インドに残る与える文化

インドでは現在もダーナムは多くの場所で見ることが出来ます。
道端や駅に身体の不自由な人が座っていることがあります。
驚くほど多くのインド人は、そういった人達に寄付をしています。
そういった場面を目にする機会がとても多かったので、
インドの文化がきちんと引き継がれていて、
人々の心の大きさを知りました。

ただ、そこで注意が必要なのは、
それをビジネスとしてやっている人も沢山いるのです。
本当に驚く数の人が寄付をするので、
普通に働くよりかは良い収入になることもあるそうです。
子供が寄付を求めてくることもあります。
スワミジはそのような場合には、
お金ではなく、食べ物を渡したほうが良いと言います。
食べ物をあげると、すごくがっかりした顔をする子や、
いらないとまで言う子もいるのです。
その子達はビジネスとしてやっているので、
お金をあげる必要の無い人達です。

出来れば知らない誰かにあげるのではなく、
何かしら関わりのある施設や、
信頼のある人の運営する組織などが良いのではないでしょうか?
子供食堂などは、お金も、食べ物も必要です。
この世の中には、自分より困っている人は沢山います。
自分に出来ることは何か?
ということに常にアンテナを張っていることはとても大切です。

出来ることから始めてみる

何にしろ、与えることが出来ないという場合には、
まずは使わなくなったものなどを、(例えば、昔スノーボードにはまってコレクションしたけれども、自分の中でブームが過ぎ去って、今は必要なくなった)
必要な人に与えることから始めましょう。
(ゴミを処分することはダーナムではありません)
そういうことをしているうちに、心は寛大になり、
その人に必要なもの、こうしてあげたい、
そのような気持ちが生まれてくるのです。
出来ない、と言って始めなければ始まらないので、
まずは出来ることから始めてみましょう。

最後に、寄付することを売名行為とか、
自分の名声の為など、周りの人が言うことがありますが、
その真意を知っているのは本人のみです。
ヴェーダの中で教えられているこれらのことは、
あくまでも自分を正し、成長させる為なので、
人を判断したり、批判する為の材料ではありません。


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山本友子 -Tomoko Yamamoto-

【Yoga space side-A 哲学担当】
1年の半分はスワミジと共に生活し、インドにて指導者養成講座やリトリートの企画、オンラインクラスを開催中。
スワミジの真っ直ぐで伝統あるヴェーダーンタの「学び」をシェアしながら、心身の健康、幸せを教えるインドの伝統の教えが、日本にも浸透することを願っている。

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