絵は何を象徴しているのか?
バガヴァッドギーターの表紙には、写真のような絵が多くあります。
- 4頭の馬は、感覚器官/ニャーナインドリヤ
(視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚/4頭の馬全体が触覚) - 手綱は、揺れ動く心/マナス
- 手綱をコントロールするクリシュナは、知性/ブッディ
- 馬車は、肉体/ストゥーラ・シャリーラ
- アルジュナは、それらの持ち主(自分自身)/アートマーです。
- そして、馬車の向かう先は、
人間の追い求めるゴール(完全な自由)/モークシャ
感覚器官、心がコントロールされなければ、
正しいゴールに向かうことは出来ません。
犬と飼い主の関係と同じように、
犬をコントロールしなければ、
犬は好きな所へ行ってしまいます。
感覚器官のコントロールのことを「ダマ」と言い、
心のコントロールのことを「シャマ」と言います。
この世界はとても魅力的で、
感覚器官や心を惹きつけるものがいっぱいなのです。
ですので、バガヴァッドギーターの中の先生クリシュナは、
知性(ブッディ)の象徴として、手綱(心)を握り、
感覚器官(馬)をコントロールしているのです。
心は時に、「野生の猿」とも言われます。
それもただの野生の猿ではなく
「サソリに噛まれた野生の猿」とも言われます。
それほどまでに、落ち着きなく、
あっちこっちに飛び跳ねているようなものなのです。
感覚器官のコントロールはどのようにするのか?
感覚器官は少なからず、
自分の手でコントロールすることが出来ます。
目や耳や口や鼻を塞ぐことが出来ます。
塩や砂糖を抜くこと、
絶食も味覚のコントロールをすることに有効です。
私達は知らず知らずに、
何かしらの習慣が身についてしまっていて、
それはもはや中毒のような時もあります。
味覚の求めるがままに食べている物を変えてみることは、
味覚をコントロールすることが出来るようになります。
良くない習慣を断ち切るには
「変えたい」という気持ちもとても大切です。
心のコントロールはどのようにするのか?
思考をおもてなししないことです。
その思考をおもてなしし続ければ、
その思考はより大きく、強いものになっていきます。
例えば、「怒り」という思考をコントロールすることはとても難しいです。
まず、怒りが芽生えたら「何もしない」ということを選びます。
怒りに従って言葉を発したり、
行動に移さずに、そのまま放っておきましょう。
心は何かについて思えば思うほど、
その思考から離れなくなるものなのです。
スワミジのお話で、
ある王様のお話があります。
その王様は若くして髪の毛が薄くなってきます。
国中の医者を集めて、
髪の毛が生えてくる薬を用意するように命じます。
そうでなければ「君達に今後はない」と言います。
国中の医者達はありとあらゆる場所に行き、
髪の毛が生えてくる薬や薬草を
見つけようとしましたが見つかりませんでした。
しかし、ある医者が「心配ない、私は薬を見つけた」と言います。
その医者は王様の所へオイルを持っていきます。
そして王様に「このオイルの使い方はとても簡単です。
毎朝オイルを3滴頭に塗ってマッサージするだけです。
ただ1つ、その時に決して猿のことだけは思わないでください」と言います。
王様は「とても簡単だ、ありがとう」と言います。
翌朝、王様は早速オイルを頭に塗ろうと思いました。
しかし、医者に言われた「猿のことだけは思わないように」
という言葉がよみがえって
忘れようとすればするほど猿を思い出してしまうのでした。
このように、忘れようと思えば思うほど忘れられません。
心はコントロールすることはとても難しいので
「思考をおもてなししないこと」
「放っておくこと」が有効です。
そして、このように自分でコントロールすることが難しいことに対して、
祈ることが有効です。
この世界の法則(イーシュヴァラ)を認識し、
感謝する行為が祈りです。
それは特定の何かの祈り言葉を捧げるだけでなく、
生きていること自体が祈りです。
祈りの姿勢で生きることです。
そのような生き方を「バクティ・ヨーガ」と言います。
バクティ・ヨーガとは神々に捧げる歌を歌うことだけが
バクティ・ヨーガではありません。
感覚器官、心、知性、肉体は何の為にあるのか?
感覚器官、心、知性、肉体は、
人生のゴール完全なる自由(モークシャ)の為に
与えられている道具です。
車や携帯電話やペンなどと同じ道具です。
与えられた道具は正しく使って意味を成します。
車は移動する為の道具です。
車庫にずっとしまっておいては道具として意味を成しません。
私達は与えられた道具を適切なゴールに向かう為に、
適切に使う必要があります。
モークシャを見据えた人が、
これらの道具を適切に使う方法と、
自分自身(アートマー)について教えているのが
バガヴァッドギーターです。
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